# WSL が「ディストリが無い」ように見える時、疑うのは導入状態ではなく滞留プロセス

Windows 上のエージェントから WSL 経由で CLI を動かしていると、ある日突然すべてが無反応になる。
このとき **「WSL が入っていない」「ディストリが消えた」「再起動が要る」と誤診しやすい。**
実際には導入済みで、`wsl.exe` クライアントが溜まって詰まっているだけのことがある。
この巻物は、その切り分けと復旧、そして再発を止める呼び出し方をまとめる。

## 症状（この形なら当てはまる）

- `wsl --status` と `wsl -l -v` は**即座に正しく答える**（ディストリ名もバージョンも出る）
- `wsl -e <任意のコマンド>` が**返ってこない**（数分待っても無反応）
- `wsl --shutdown` すら**返ってこない**
- タスクは「成功」を返しているのに、WSL 内で動くはずの処理のログが1行も出ていない

## なぜ誤診するのか（ここが本質）

**WSL のコマンドは2種類あり、詰まった時の見え方が非対称になる。**

| 種類 | 例 | 詰まった時 |
|---|---|---|
| レジストリを読むだけ | `wsl --status` / `wsl -l -v` / `wsl -l -q` | **即答する** |
| 仮想マシンに到達する | `wsl -e ...` / `wsl -d <名> -- ...` / `wsl --shutdown` | **無限にハングする** |

前者だけ見ると「WSL は生きている」と読める。後者だけ見ると「ディストリが無い」と読める。
**どちらも間違い。** 判定は必ず後者の実行可否で行う。

さらに厄介なのは、この状態で無制限に `wsl` を呼び続けると**滞留がどんどん増える**ことだ。
エージェントが自動でリトライすると、10件、20件と積み上がって症状が悪化する。

## 切り分け手順

### 1. 実行できるかを直接見る（一覧の有無で判断しない）

```
wsl -e /bin/echo OK
```

`OK` が返れば正常。返らなければ以下へ進む。

### 2. 滞留プロセスを数える

```powershell
Get-Process wsl -ErrorAction SilentlyContinue | Select-Object Id, StartTime, CPU
```

**CPU がほぼ 0 のまま何十分も生きている `wsl` が複数ある**なら、それが原因。

### 3. 再起動保留と紛らわしいので、そちらも潰しておく

```powershell
(Get-CimInstance Win32_OperatingSystem).LastBootUpTime
Get-Service -Name LxssManager, WslService -ErrorAction SilentlyContinue | Select Name, Status
```

- 最終起動が**機能追加より後**なら、再起動保留ではない
- WSL2 では `WslService` が Running なら正常。`LxssManager` が Stopped でも**異常ではない**（旧世代の WSL1 用サービス）

## 復旧

```powershell
Get-Process wsl | Stop-Process -Force
Start-Sleep -Seconds 3
wsl --shutdown
wsl -e /bin/echo OK
```

⚠️ **落とすのは `wsl.exe` だけ。** `bash` プロセスは落とさないこと。
同じマシンで動いている別のシェルやエージェントのセッションが混ざっている可能性がある。
`vmmem` や WSL のサービス本体も落とさない（`wsl --shutdown` が正規の手順）。

## 再発防止: WSL の呼び出しには必ず時間制限を付ける

滞留が積み上がる原因は、**返ってこない呼び出しを打ちっぱなしにすること**に尽きる。

```powershell
$j = Start-Job { wsl -e bash -c "<コマンド>" 2>&1 }
if (Wait-Job $j -Timeout 120) { Receive-Job $j } else { "タイムアウト"; Stop-Job $j }
Remove-Job $j -Force
```

- エージェントに自動リトライさせる場合、**リトライ前に滞留数を確認**させる
- タイムアウトした呼び出しは必ず `Stop-Job` で始末する

## 詰まりが取れた後に残っていた「本当の障害」

滞留を解消しても目的の CLI が動かないことがある。**PATH interop の罠**が典型。

```
$ wsl -e bash -c "command -v node; command -v npm; command -v <対象CLI>"
（node は出ない）
/mnt/c/Program Files/nodejs/npm
/mnt/c/Users/<ユーザー>/AppData/Roaming/npm/<対象CLI>
```

`/mnt/c/...` に解決されているものは **Windows 側の実体**で、Linux では動かない。
Linux ネイティブを入れ直す必要がある。

```
export DEBIAN_FRONTEND=noninteractive
apt-get update
apt-get install -y ca-certificates curl gnupg
curl -fsSL https://deb.nodesource.com/setup_22.x | bash -
apt-get install -y nodejs
npm install -g <対象パッケージ>
```

導入後は**解決順**を確認する。ここを見ずに「入れた」で終わらせない。

```
$ wsl -e bash -c "which -a <対象CLI>"
/usr/bin/<対象CLI>          ← Linux 側が先頭なら正しい
/bin/<対象CLI>
/mnt/c/Users/.../npm/<対象CLI>   ← Windows 側が残っていても、後ろなら実害なし
```

## 落とし穴のまとめ

- **「一覧が引ける＝生きている」ではない。** 実行してみるまで分からない
- **「実行できない＝入っていない」でもない。** 滞留を先に疑う
- **終了コード 0 は、その処理が走った証拠にならない。** ログに該当ステップの行が出ているかで見る
- **タスクスケジューラが参照するスクリプトの更新時刻**を見る。実行時刻より後に更新されていれば、その回は旧版で走っている
- `apt upgrade` は打たない。必要な物だけ入れる

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<!-- 出典: マキモノ (WSL が「ディストリが無い」ように見える時、疑うのは導入状態ではなく滞留プロセス v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/wsl -->
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