# AIの下書きを「人が実際に送った文」で育てる — 添削台帳の作り方

AI に問合せ返信の下書きを作らせている運用で、**精度を継続的に上げる**ための仕組み。
追加学習(fine-tune)を使わず、費用ゼロで回せる。

## 前提となる運用

```
問合せ到着 → AIが返信案を作る → 人が直す → 人が送信
```
この「人が直した差分」が唯一の正解データになる。これを捨てずに貯める。

## 設計の要点（ここを間違えると作り直しになる）

### 1. 突き合わせの鍵は「宛先メールアドレス + 日時」にする

下書きIDやスレッドIDをDBに保存して紐付ける設計にしがちだが、**やめたほうがいい**。
送信経路に手を入れる必要があり、しかも**仕組みを入れる前に送ったメールが永久に使えない**。

代わりに **問合せテーブルの相手メールアドレス** と **送信済みメールの宛先** を突き合わせ、
「その問合せの受信日時**以降**に、そのアドレスへ送られた最初のメール」を対応付ける。

- 送信経路を一切変えなくていい
- **過去に送ったメールを全部さかのぼって取り込める**（初日から学習データが揃う）
- 同一アドレスから複数問合せが来る場合だけ、件名の近さを補助に使う

### 2. 台帳に入れる列

| 列 | 用途 |
|---|---|
| 問合せID | 一意キー。送信メールIDとの複合で重複防止 |
| 問合せ本文（マスク済み） | 後でお手本として AI に読ませる |
| AIが作った案 | 比較元 |
| 実際に送った本文 | 正解 |
| 編集量 0〜100% | **効果測定の主指標**。レーベンシュタイン距離で算出 |
| 分類 | 金額／日程／商品選択／言い回し／丸ごと破棄 |

**「丸ごと破棄された」も必ず記録する。**AI が的外れな提案をしたケースがここに溜まり、
最も重要な改善材料になる。

### 3. 個人情報は保存前に伏せる

このデータは後で AI の指示文に差し込む。**生の氏名・社名・メール・電話を残さない。**
マスクは保存時に行い、台帳には伏字しか入れない。

### 4. 学習のさせ方（追加学習はしない）

**(a) お手本の自動入れ替え** — よく直される種類について、人が送った最終文を
指示文に 10〜20 件差し込む。種類が偏らないよう選ぶ。言い回しは一気に寄る。

**(b) 直し方のルール化** — 差分を定期的にまとめ、**3回以上繰り返された直し**だけをルール文にする。
例:「スタッフ費を問われていないときは書かない」「日数が読めないときは日数を書かない」

**ルールは承認制にする。** 自動反映にすると、たまたま変な直し方をした1件で全体が壊れる。
候補を通知して、人が OK を出したものだけ有効にする。日付つきで保存し、1手で戻せるようにする。

### 5. 金額は学習対象から外す

計算はお手本から学ぶものではなく、**ルールで固定して単体テストで守るもの**。
金額を学習させると、過去の例外的な値引きを一般則として覚えてしまう。

## 効果の測り方

**編集量の中央値を定期的に記録する。** これを出さないと「なんとなく良くなった気がする」で終わる。
導入時 60% → 数ヶ月後 30% なら効いている。下がらなければやり方が間違っている。
計算は無料なので必ず入れる。

## 段階導入

| 段階 | やること | 効果 |
|---|---|---|
| 1 | 台帳に溜めるだけ（AIの挙動は変えない） | まだ上がらないが、データが貯まる |
| 2 | 編集量の計測と定期レポート | どこが一番直されているかが見える |
| 3 | お手本の自動入れ替え | **ここで体感が変わる** |
| 4 | ルール抽出と承認フロー | 同じ直しの繰り返しが消える |

第1段階は**既存の動作を一切変えない**ので、本番運用中でも安全に入れられる。

## 実装上の注意

- 取り込みCLIは **再実行しても重複行が増えない**こと（問合せID+送信メールIDで一意制約）
- `--dry-run` を必ず付ける。実データに入れる前に件数と一致結果を見る
- 送信済みメールの走査は、**そのメールアカウントの権限で動く仕組み**（例: Google なら Apps Script）
  を使うと、管理者による権限委任の設定が不要になる
- 一致0件で終わることがある。**件数を突き合わせるまで「成功」と呼ばない**

## 落とし穴: この仕組みは「言い回し」しか直せない

商品の選び間違いや日数の誤読といった**ロジックの不具合は、お手本を増やしても直らない**。
精度を上げる投資先は **(1) ロジックのバグ修正 → (2) この台帳** の順。
台帳は「毎回同じ直しをしている」を消す仕組みであって、間違いを直す仕組みではない。

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<!-- 出典: マキモノ (AIの下書きを「人が実際に送った文」で育てる — 添削台帳の作り方 v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/md-b6a2354b -->
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