# 「数字が変わらない」— 定期出力が止まった時に最初に疑う場所を間違えない

定期実行しているレポートやダッシュボードの数字が更新されなくなった。
ログを見ても**エラーが1行も出ていない**。スクリプトを手で動かすと**普通に成功する**。

この組み合わせに出会ったら、スクリプトのバグを探すのをやめる。
ほぼ確実に「**そもそも起動していない**」。

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## 1. なぜ時間を溶かすのか

人は「出力がおかしい＝出力を作る処理がおかしい」と考える。だから実装を読み始める。
しかし**トリガーが外れていた場合、処理は一度も走っていない**。
走っていないものにバグは無いので、読んでも何も見つからない。

さらに悪いことに、この故障は**気づくのが遅れる**。
多くの実装は「前回の結果をキャッシュして、更新に失敗したら前回値を出す」設計になっている。
すると画面には**それらしい数字が出続ける**。誰も壊れていると思わない。

実例: ある定期レポートが6日間、古い集計値を「現在値」の顔で表示し続けた。
実際の値は表示の約1.27倍まで乖離していた。表示が空白やエラーになっていれば即日気づけたはずだった。

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## 2. 診断順序（これを逆にやらない）

### ① トリガーが登録されているか

最初に見るのはここ。実装ではない。

- hook / cron / スケジューラ / CI のスケジュール定義に、その処理が**今も**載っているか
- 設定ファイルを他の自動処理が書き換えて、エントリごと消えていないか

設定ファイルは「自動整形」「自動マージ」「別PCからの同期」で**黙って行が消える**ことがある。
消えても誰も通知してくれない。

### ② 手動実行が通るか

通るなら実装は無実。①か③の問題。
通らないなら、ここで初めて例外が読める。

### ③ 起動痕跡と突き合わせる

実装が「起動した証拠」を残しているなら、それを読む。

| 見るもの | 読み方 |
|---|---|
| ロックファイルの更新時刻 | 新しい → 起動はしている / 古い → 起動していない |
| state ファイルの `lastRun` | ここが止まった日 = 最後に**完走**した日 |
| エラーログのサイズ | **空は「正常」ではない。「起動していない」かもしれない** |

**最重要**: エラーログが空なのを「エラーが無い＝正常」と読まない。
「起動していない」と「起動して成功した」は、どちらもエラーログを空にする。
この2つを区別できるのは**起動痕跡**だけ。

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## 3. 二度と沈黙させないための実装パターン

原因を直すだけでは足りない。**次に壊れた時に気づける形**にする。

### (a) キャッシュを出すなら鮮度を必ず名乗らせる

古い値を今の値の顔で出すのが最大の実害。許容時間を超えたら先頭に1行付ける。

```js
const MAX_AGE_MS = 6 * 60 * 60 * 1000;

function readCache(file) {
  let fd;
  try {
    fd = fs.openSync(file, 'r');
    const updatedAt = fs.fstatSync(fd).mtimeMs;
    const body = fs.readFileSync(fd, 'utf8');
    if (Date.now() - updatedAt < MAX_AGE_MS) return body;
    return `⚠️ この数値は ${fmt(updatedAt)} 時点のキャッシュです（更新に失敗しています）\n${body}`;
  } catch {
    return null;
  } finally {
    if (fd !== undefined) fs.closeSync(fd);
  }
}
```

実測で効く。導入後、最初の起動でいきなり10日分の滞留を拾った。

### (b) 裏で走らせる子プロセスの出力を捨てない

`stdio: 'ignore'` は例外を闇に葬る。最低限 stderr はファイルに向ける。

```js
const errFd = fs.openSync(ERROR_LOG, 'a');
const child = spawn(process.execPath, args, {
  detached: true,
  stdio: ['ignore', 'ignore', errFd],
});
child.once('error', (e) => { logError(e); releaseLock(); });
child.unref();
```

### (c) 後始末を `beforeExit` に頼らない

`beforeExit` は**異常終了では発火しない**。
ロック解除とキャッシュ保存を `beforeExit` に置くと、落ちた時にロックが残り、
以後ずっと「前の実行が動作中」と誤認して起動をスキップし続ける。沈黙が永続化する。

```js
try {
  await collect();
  cache.save();          // 成功した時だけ保存する
} catch (e) {
  logError(e);
  process.exitCode = 1;
} finally {
  releaseLock();         // 成否に関わらず必ず解放
}
```

### (d) 非同期の完了を待ってから保存する

```js
// NG: 投稿の完了前にプロセスが終わり得る。保存も解放もされない
fetch(url, opts).then(...).finally(() => save());

// OK
await fetch(url, opts);
save();
```

これが沈黙の典型的な発生源。「たまに更新される / たまにされない」の正体はほぼこれ。

### (e) ロックに最大寿命を持たせる

プロセスが強制終了されると `finally` すら走らない。
ロックは「作成から N 分経っていたら無視して奪う」設計にしておく。

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## 4. チェックリスト

定期出力を作ったら、最後にこれを確認する。

- [ ] トリガー登録が消えた時に気づける手段があるか
- [ ] キャッシュを返す経路に鮮度警告があるか
- [ ] 子プロセスの stderr が残るか
- [ ] ロック解除が `finally` にあるか
- [ ] ロックに最大寿命があるか
- [ ] 非同期処理を `await` してから保存しているか
- [ ] 「エラーログが空」を正常と判定していないか

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## 5. まとめ

- 出力が更新されない時の調査順は **①トリガー登録 → ②手動実行 → ③実装**。逆にやると溶ける。
- **空のエラーログは無罪の証明ではない**。起動痕跡と必ず突き合わせる。
- キャッシュは**自分が古いことを名乗る**。黙って古い値を出すのが一番の害。
- `beforeExit` と `stdio:'ignore'` は沈黙製造機。`finally` と stderr 保存に置き換える。

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<!-- 出典: マキモノ (「数字が変わらない」— 定期出力が止まった時に最初に疑う場所を間違えない v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/md-ae4d6c56 -->
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