# テストが全部緑でも検出器は死んでいる — 変異テストでテストの検出力を機械的に検定する

AI エージェントにルールを守らせるため、hook / gate / lint などの「検出器」を何十本も書いている
プロジェクト向け。**検出器のテストが全部 pass していることは、その検出器が動いている証拠にならない。**
テストが「壊れた検出器」と「動く検出器」を区別できるかどうかは、別に検定しないと分からない。

実測: 検出器 34 本を検定したところ、**2 本のテストは検出器を無害化しても全部 pass した**
（片方は判定を 11 箇所ひっくり返しても誰も気付かなかった）。さらに 11 本は検定手段が無く「緑だが未検証」。
テストに検出力があると確認できたのは 21 本（62%）だけだった。

## 何を作るか

検出器のソースを「常に無害な判定を返す」よう書き換えた**変異体**を作り、**同じテストスイート**を流す。

- テストが落ちる → `killed`（検出力あり）
- テストが通る → `survived`（**そのテストは動く検出器と死んだ検出器を区別できない**）
- 変異させられない → `unmutatable`（**合格にしない**。検定不能を合格に化けさせないため終了コードを分ける）

## 実装（Node.js / 依存パッケージなし）

### 1. 変異ルール

検出器の「判定の語彙」は驚くほど少ない。次の 4 つを潰せば実務上は足りる。

| ルール | 置換 |
|---|---|
| 判定文字列 | クォート内の完全一致 `'block'` `'warn'` → `'pass'`、`'deny'` → `'allow'`。識別子（`blocked` など）は置換しない |
| 終了コード | `process.exit(<非ゼロ整数>)` → `process.exit(0)`。変数引数は対象外 |
| 真偽値の判定 | `ok: false` → `true`、`blocked: true` → `false` |
| 蓄積 | `findings.push(` → `false && findings.push(`（行を消すと構文が壊れるので短絡で無効化する） |

重要: **変異体は構文として妥当なまま**にすること。クラッシュするとテストが落ち、
「検出力がある」と誤判定される（クラッシュを検出したのであって判定を検出したのではない）。
置換が 0 件なら `unmutatable` を返す。0 件を「合格」にしてはいけない。

### 2. 実行

1. **リポジトリ root ごと**一時ディレクトリへコピーする（`fs.cpSync` / `node_modules` と `.git` は除外）
2. コピー先でテストを 1 回流す（baseline）。落ちたら検定不能として打ち切る
3. コピー先の検出器を変異体で上書きし、もう 1 回流す
4. 落ちれば `killed` / 通れば `survived`

**⚠️ ここで 1 回失敗する**: コピー範囲を「検出器の入っているディレクトリだけ」にすると、
リポジトリ root 直下のファイルを読む検出器が起動に失敗し、`baseline_failing` が大量に出る。
これは偽陽性で、**潰さないと本物の `survived` がその中に埋もれる**（実際に 1 件埋もれていた）。

### 3. 🔴 最大の罠: テストの中から子プロセスで `node --test` を起動すると失敗が exit 0 になる

親のテストランナーが立てる環境変数 `NODE_TEST_CONTEXT` を子が継承するため。実測:

| 起動方法 | わざと落とすテストの exit code |
|---|---|
| `node --test fail.test.mjs` | **1** |
| `NODE_TEST_CONTEXT=child-v8` を継承 | **0** |

失敗信号が消えるので**変異体が常に生き残り、全検出器が「対照群なし」に化ける**。
しかも `survived` を期待する側のテストは空振りで通るため、スイートは緑のまま気付けない。
spawn する側で必ず外すこと:

```js
export function childEnv(env = process.env) {
  const copy = { ...env };
  delete copy.NODE_TEST_CONTEXT;
  return copy;
}
spawnSync(process.execPath, ['--test', testPath], { env: childEnv(), /* ... */ });
```

一般化: **子プロセスの exit code で判定する計測器は、親のランナーが注入する環境変数を疑う。**

### 4. このツール自身の対照群（これが無いと意味がない）

テストに次の 2 本を必ず入れる。**片方だけでは自分自身が空振りする。**

1. 合成の検出器＋**両側を assert する**テスト → `killed` が返ること
2. 同じ検出器＋**正常側しか assert しない**テスト → `survived` が返ること

実際にこの 1 本目が落ちたことで、上の `NODE_TEST_CONTEXT` の罠が見つかった。

## hook として常時強制する

作っただけでは使われない。検定結果を台帳に追記し、未検定なら止める。

- 検定のたびに `{ name, sha256, verdict, at }` を JSONL へ追記する。**`sha256` は検定した時点の
  検出器ソースのハッシュ**
- セッション終了時の hook で、作業ツリーで変更された検出器を列挙し、
  **現在のソースの sha256 と一致する `killed` の記録が無ければ block** する
- ハッシュ一致を条件にするのが肝。名前だけで照合すると「昔検定したから」で素通りする
  （検定後にコードを 1 行足したら再び block されるのが正しい）

block のメッセージには**実行すべきコマンドをそのまま**書く。「検定してください」だけでは動けない。

## 測定限界（報告に必ず添える）

変異は判定語彙の置換に限られ、ロジックの分岐は変異させない。よって `killed` は
「**この変異なら**検出できる」であって、テストが十分である証明ではない。
`unmutatable` は「検定できていない」であり、緑とは違う。この 2 つを混ぜて
「全部 OK」と報告すると、この仕組みを作った意味が消える。

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<!-- 出典: マキモノ (テストが全部緑でも検出器は死んでいる — 変異テストでテストの検出力を機械的に検定する v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/md-7061ebbb -->
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