# 委譲した実装を「本番で起動される環境」で受け入れ検証する

AI エージェントに実装を委譲すると、テストは緑で返ってくる。
だがその緑は **委譲先が実行した環境での緑** でしかない。
実行環境が2つあるプロジェクト（WSL と Windows ネイティブ、コンテナとホスト、CI とローカル）では、
片方でだけ通るコードが平然と生まれ、**本番の起動経路に配線した日の夜まで欠陥が隠れる**。

この指示書は、その受け入れ検証を型にする。

## 前提となる構図

- 監督役の AI（あなた）が仕様を書き、実装は別のコーディング AI／CLI に委譲する
- 委譲先は多くの場合 Linux 系のシェルで動く
- 一方、出来上がったスクリプトを**実際に起動するのはスケジューラやサービス**で、
  そちらはホスト OS のネイティブ実行系（例: Windows のタスクスケジューラ → PowerShell → ネイティブ node）

この差が埋まっていないと「テスト緑 → 配線 → 毎晩静かに失敗」が起きる。

## 手順

### 1. 仕様書に「本番の起動経路」を明記する

委譲の指示書に、実装の要件とは別に必ず書く。

```
このスクリプトは最終的に <スケジューラ名> から <シェル名> 経由で起動される。
したがって検証は <本番の実行系> でも1回実行し、その生出力を報告に貼ること。
<本番の実行系> が見つからない場合は「見つからなかった」と正直に書くこと（成功を装わない）。
```

「正直に書け」を明示するのは重要で、これが無いと委譲先は
自分が動かせた環境の結果だけを貼って完了を宣言する。

### 2. 受け入れ側（監督）が本番の実行系で自分で1回叩く

委譲先の報告は**証拠として採用しない**。監督が自分で実行する。

```
# 委譲先の環境ではなく、本番が使う実行系で
<本番の実行系> <スクリプト> --dry-run
echo "exit=$?"
```

これだけで、次章の欠陥はすべて表面化する。

### 3. 環境差で死ぬ定番3つを名指しで潰す

**(a) ESM で自ファイルの場所を求めるときの URL → パス変換**

```js
// 壊れる: Windows ネイティブでは "/C:/..." が返り、join すると "C:\C:\..." になる
const dir = path.dirname(new URL(import.meta.url).pathname);

// 正しい
import { fileURLToPath } from 'node:url';
const dir = path.dirname(fileURLToPath(import.meta.url));
```

POSIX 系では `pathname` がそのまま使えてしまうため、**委譲先の環境では最後まで緑**になる。

**(b) シェル経由でしか起動できない実行ファイル**

ラッパースクリプト（`.cmd` / `.bat` / `.ps1` 等）は、
シェルを介さない素のプロセス生成では起動できないことがある。
子プロセスを起こす箇所は、シェル経由の起動オプションを付けるか、実体のパスを解決する。

**(c) 失敗しているのに成功の終了コードを返す**

```
$ <スクリプト> --check
ENOENT: no such file or directory, open '...'
exit=0        # ← これが本番に載ると失敗が永久に「成功」として記録される
```

例外を捕まえて表示している箇所で、**終了コードを立て忘れていないか**を必ず確認する。
無人実行に載せる前に、**わざと失敗させて exit code が 0 でないこと**を実測する。

### 4. 受け入れテストに「本番環境で意味を持つ assert」を足させる

環境差は、テストの中でも表明できる。

```
- 既定の設定ファイルパスが実在ファイルに解決されること（fs.existsSync(DEFAULT_PATH)）
- 失敗ケースで終了コードが 0 でないこと
```

前者は (a) を、後者は (c) を機械的に縛る。
**このテストが本番の実行系でも走ることが目的**なので、テストコマンド自体も本番側で1回流す。

## 破壊的な変更を伴う場合の追加ゲート

生成物がファイルを書き換えるツールなら、受け入れ前に次も実測する。

- **往復無損失**: 「何も変更しない」入力で走らせ、出力が入力と**バイト単位で一致**すること。
  一致しないなら、パーサが解釈できなかった部分を黙って捨てている
- **冪等性**: 2回続けて実行し、2回目が1バイトも書き換えないこと
- **競合検知**: 書き込み直前に対象を読み直し、サイズと更新時刻が計画時と一致しなければ**書かずに中止**すること。
  複数のエージェントが同じファイルを触る環境では、これが無いと他方の変更を消す
- **自動復元**: 書いた後に読み直して検証し、破れていたらバックアップから戻すこと

これらは**変換ツール自身の assert ではなく、別実装の検証ツール**で照合する。
同じパーサで期待値を作ると、パーサのバグは絶対に検出できない。

## 完了条件

- 本番の実行系で `--dry-run` 相当が exit 0 で通った生出力がある
- わざと失敗させたときに exit code が 0 でない生出力がある
- 破壊的ツールなら、往復無損失・冪等性・競合検知・自動復元の4つを実測した記録がある

## なぜこの型が要るか

「テストが緑」は **そのテストを走らせた環境で緑** という意味しかない。
委譲は実装の速度を上げるが、**検証の責任は監督から移らない**。
受け入れ検証を本番の起動経路に合わせるだけで、
「配線した日から毎晩静かに失敗し、数週間後に気付く」種類の障害はほぼ消える。

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<!-- 出典: マキモノ (委譲した実装を「本番で起動される環境」で受け入れ検証する v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/md-4e76b10b -->
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