# 作業ツリーが汚れた端末にだけ配布が届かない — フォールバックの自家中毒まで含めて塞ぐ

複数端末へ `git pull` でツール群を配る運用で、**開発に使っている端末にだけ配布が永久に届かない**型の障害。
新規端末でも、きれいな端末でも再現しないため気付けない。さらに素朴に直すと
**「1回目は直るが2回目から凍結する」二次不具合**を作り込む。実際に踏んで直した記録。

対象は、配布インストーラ／セッション開始フック／定期実行タスクで複数端末に同じツールを配っている運用者と、
その作業を代行する AI。

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## 1. 症状

- 新規端末・きれいな端末では新機能が動く
- **開発に使っている端末（未コミットの変更がある／ブランチが分岐している）にだけ届かない**
- 同期処理のログには「スキル配布 完了」「フック登録 完了」「設定ファイル更新」と**成功が並ぶ**
- テストは全部 green、CI も緑
- 誰もエラーを見ていない（＝静かに何も起きない）

## 2. 原因の型（3つ）

### 2-1. フォールバックの発動条件が「リポジトリが無いこと」になっている

よくある実装:

```js
if (fs.existsSync(path.join(repoPath, '.git'))) {
  execFileSync('git', ['-C', repoPath, 'pull', '--ff-only']);   // ← 失敗しうる
} else {
  // アーカイブを落として tools/ を上書きコピー（フォールバック）
}
// ↑ 全体が try{}catch{} で囲まれ、失敗はログ1行で握り潰される
```

`.git` が**在る**のに `pull` が失敗する端末（作業ツリーが汚れている／分岐している）では、
フォールバックへ**行かない**。catch が飲むので tools/ は永久に古いまま。

**正しい条件は「リポジトリが無いこと」ではなく「取得できなかったこと」。**

### 2-2. フォールバックが人の作業を消す／消さないために何もしない

アーカイブ展開はたいてい `リポジトリごと削除 → 展開物を移動` で実装される。
未コミットの作業を守るためこれを避けると、結局「汚れた端末を直す経路が一つも無い」状態になる。

**解**: リポジトリは削除せず、**配布対象ディレクトリのファイルだけ**を上書きし、
`git status --porcelain -z --untracked-files=all` に出たパスは**除外**する。

```js
// rename/copy は次の NUL 要素が旧パス。新旧どちらも除外する
function parsePorcelainZ(output) {
  const entries = String(output).split('\0');
  const changed = new Set();
  for (let i = 0; i < entries.length; i++) {
    const e = entries[i]; if (!e) continue;
    const status = e.slice(0, 2);
    changed.add(e.slice(3).replaceAll('\\', '/'));
    if (/[RC]/.test(status) && entries[i + 1]) changed.add(entries[++i].replaceAll('\\', '/'));
  }
  return changed;
}
```

`status` が取得できないときは**1ファイルも書かずに終える**。
黙って人の作業を消すより、届かないほうが安全。

### 2-3.（本丸）フォールバックが自分の出力を「人の変更」と誤認して凍結する

2-2 を実装すると1回目は正しく直る。**2回目で壊れる。**

フォールバックが書いたファイルは、その端末の git から見ると「変更あり」または「未追跡」になる
（HEAD は古いコミットのままなので）。次回の実行は**自分が前回書いたファイルを保護対象と誤認**し、
除外リストが膨張して**その版で永久に凍結**する。

実測: 1回目の除外 2 件 → 2回目 **55 件**。届かないより質が悪い。
「更新できている」と表示されたまま古いまま止まる。

**解**: 書き込んだ内容のハッシュを記録し、**自分の出力と人の編集を区別**する。

```js
// 記録: { files: { "<リポジトリ相対パス>": "<sha256>" }, updatedAt: "<ISO>" }
for (const rel of changedPaths) {
  const abs = path.join(repo, ...rel.split('/'));
  if (prev?.files?.[rel] && fs.existsSync(abs) && sha256(abs) === prev.files[rel]) {
    selfOutput.add(rel);        // 前回の自分の出力 → 更新してよい
  } else {
    protectedPaths.add(rel);    // 人がそのあと編集した → 保護する
  }
}
```

記録が読めない・壊れている場合は**全部保護**に倒す。

## 3. 自己修復には循環がある

配布を直す道具そのもの（同期スクリプト）が、**更新できない端末には届かない**。
リポジトリ内のツールで自己修復させようとすると必ず詰む。

**循環を破れるのは「毎回リモートから取り直される要素」だけ**＝インストーラ、
または人が外から1ファイルだけ持ち込む操作。

そのため**インストーラ側にも同じ修復ロジックを入れる**こと。
インストーラだけは配布のたびに最新が取得されるので、唯一の救出経路になる。

応急処置（1回だけ・以後は自動化に戻る）:

```
# 同期スクリプト1本だけをリモートから上書きしてから走らせる
<remote-raw>/tools/sync.mjs  →  <repo>/tools/sync.mjs
node <repo>/tools/sync.mjs --force
```

依存モジュールを解決させるため、**リポジトリ内の元の位置に置いてから**実行する
（1本だけ別の場所に置いて実行すると import が連鎖的に落ちる）。

## 4. 定期タスクが見ているのは本当にそのリポジトリか

見落としやすい前提。**同じリポジトリのチェックアウトが2箇所ある**ことがある。

実例: 同期処理の対象は `<home>/<repo>` にハードコードされているのに、
定期実行タスクは `<home>/Downloads/<repo>` を指していた。後者は誰も更新しない。
結果、呼び出し側のスクリプトには新しい処理が入っているのに、
そこから呼ぶツールが存在せず「ファイルなし」で毎晩無言で空振りしていた。

```powershell
# 定期タスクが実際に叩くパスを読む。~/ だと決めつけない
(Get-ScheduledTask -TaskName '<TaskName>').Actions | % { $_.Arguments }
```

## 5. 失敗を必ず1行で出す

握り潰しをやめ、**3値**を必ず出力する。

```
tools を更新しました (git pull)
pull できないためアーカイブで更新しました (理由: …) / 人の変更を保護: n件 / 前回の自分の出力なので更新: m件
⚠ tools を更新できませんでした (理由: …)。この端末は配布が届いていません
```

「スキル配布 完了」だけが並ぶログは、**配布本体が死んでいても成功に見える**。

## 6. 検証のしかた（ここを省くと必ず取り逃す）

きれいな端末だけで確認して終わらせない。

1. **汚れた作業ツリーを実際に作る** — 古いコミットへ移動し、追跡ファイルを1つ改変、未追跡ファイルを1つ作る
2. **2回連続で実行する** — 1回目だけの確認では 2-3 の自家中毒を取り逃す
3. 毎回この4点をアサートする
   - 配布物が届いたか
   - 改変した追跡ファイルと未追跡ファイルが**両方とも無傷**か
   - 除外件数が**2回目に膨張していない**か
   - リポジトリ（`.git`）が消えていないか
4. **自分が書いたファイルを人が編集した**場合に保護へ再分類されるかも確認する

## 7. チェックリスト

- [ ] フォールバックの条件は「リポジトリが無い」ではなく「取得できなかった」になっているか
- [ ] フォールバックはリポジトリを削除していないか
- [ ] 変更中・未追跡ファイルを除外しているか（rename の旧パスも）
- [ ] 書き込んだ内容のハッシュを記録し、自分の出力と人の編集を区別しているか
- [ ] 状態が取得できないとき、1ファイルも書かずに終えているか
- [ ] インストーラ側にも同じ修復ロジックが入っているか（循環を破る唯一の経路）
- [ ] 定期タスクが見ているパスを実際に読んだか
- [ ] 成功・フォールバック・全滅の3値を必ず1行で出しているか
- [ ] 汚れた作業ツリーで**2回連続**実行して検証したか

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<!-- 出典: マキモノ (作業ツリーが汚れた端末にだけ配布が届かない — フォールバックの自家中毒まで含めて塞ぐ v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/md-40f34f0d -->
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