# 同期で巻き戻る設定を「固定時刻の貼り直し」で守ろうとして失敗する — 状態の検出で駆動する収束に変える

配布物（zip / パッケージ / 設定の同期）で上書きされるディレクトリに、自前のパッチを当て続けたい。
定番の対処は「同期の直後の時刻に貼り直しジョブを置く」。**これは高い確率で失敗する。**
本書はその診断手順と、時刻に依存しない直し方、そして直したことを検定する方法を示す。

## 症状

- 貼り直しジョブは**ログ上は成功している**（「適用済み」と出る）。
- なのに、ある時刻を境にパッチが消えている。
- 貼り直しの時刻をずらしても再発する。

## 1. まず「上書きする側」を特定して、発火の契機と頻度を測る

「いつ走るか」ではなく **「何をきっかけに走るか」** を測る。ここを飛ばすと、ずっと時刻を動かし続けることになる。

```bash
# 配布ディレクトリの実ファイルが最後に書かれた時刻
ls -la --time-style=full-iso <配布ディレクトリ>/<対象ファイル>

# 定時ジョブの一覧と最終実行（Windows。cron なら crontab -l と実行ログ）
# 名前・トリガ・最終実行・終了コードを一覧化する
```

そのうえで、**上書きする実体のコードを読む**。典型的な作りはこうなっている。

```js
// 同期スクリプトの中核
function syncRepository() {
  const previous = loadState();                       // 例: ~/.config/<配布物>/sync-state.json
  if (now - previous.last < 24 * 3600 * 1000) return; // ← N時間ガード
  saveState(now);
  downloadArchive();
  extractAndCopy();                                   // ← ここで無条件コピー
}
```

**このガードが犯人**。「24時間経ってから、最初にイベントが起きた瞬間」に走るので、
壁時計の時刻が**毎日ずれていく**。実測例では前日 03:20、翌日 14:06（34時間47分後）に落ちた。
**固定時刻の貼り直しをどこへ動かしても追いつけない。**

### ついでに確認する: 人の変更を守る保護が効いているか

配布物の同期には「ローカルで変更されたファイルは上書きしない」保護が付いていることがあるが、
**前提が崩れていると丸ごとスキップされる**ことがある。

```js
const hasGit = fs.existsSync(path.join(targetDir, '.git'));
// hasGit が false だと、以降の「ローカル変更を除外する」判定が全部飛ぶ
```

配布先が clone ではなくアーカイブの展開先だと `.git` が無いので、保護は**一度も働かない**。
「保護があるはずなのに消える」ときはここを疑う。

## 2. 「同期の後段に置く」で解こうとする前に、順序が保証されるか確かめる

イベントフック（セッション開始フック等）で同期が走っている場合、
**同一イベントのフックは並列起動する実装が多い**。配列の後ろに置いても後に走る保証は無い。
`async` / `sync` の区別以前の問題なので、まずここを確認する。順序で解けないなら次へ。

## 3. 直し方: 時刻でなく「当たっているか」で駆動する

**推測しない。直接見て、当たっていなければ当てる。** 冪等なら短い間隔で回してよい。

貼り直しツールに「書かずに未適用件数だけ返す」モード（`--check` 等）が既にあるなら、それを再利用するのが最短。

```js
if (ifNeeded && !check) {
  const probe = run({ check: true });          // 書かない
  if (probe.pending === 0) {
    console.log('変更不要（未適用 0 件）');      // 出力は1行だけ
    process.exitCode = 0;                      // ← 既知の警告を混ぜない（下記）
  } else {
    // ASCII の目印を先頭に置く（呼び出し側の .bat/.cmd が findstr で拾うため）
    console.log(`REPAIRED 巻き戻りを検出（未適用 ${probe.pending} 件） 同期の最終実行=${syncedAt() ?? '不明'}`);
    const applied = run({ check: false });
    printResult(applied, false);
    process.exitCode = applied.stale.length ? 3 : (applied.ok ? 0 : 2);
  }
}
```

### 設計上ゆずれない3点

1. **no-op は静かにする。** 30分おきに回すなら、何もしなかった時は**出力1行・ログ0バイト・exit 0**。
   毎回フル出力を吐くと1年で数万行になり、本当に直した回が埋もれる。
2. **no-op の終了コードに「既知の警告」を混ぜない。**
   「もう二度と当たらないパッチが N 件ある」といった恒常的な警告で exit 3 を返す作りだと、
   スケジューラの最終結果が**常時3**になり、本物の異常を見分けられなくなる。
   恒常警告は「1日1回のフル実行」側だけで報告し、収束ジョブは黙らせる。
3. **状態ファイルの読み取りで落ちない。**
   同期時刻を証拠として添えるのは有用だが、**それが読めないことを理由に貼り直しを止めない**。

```js
export function syncedAt(stateFile = defaultStatePath) {
  try {
    const raw = JSON.parse(fs.readFileSync(stateFile, 'utf8'));
    return typeof raw.last === 'string' ? raw.last : null;
  } catch { return null; }   // 無い・壊れている・型違い のどれでも null
}
```

### 運用: 「毎日1回のフル実行」と「短間隔の収束」を分ける

| ジョブ | 間隔 | 役割 |
|---|---|---|
| フル実行 | 1日1回 | 心拍。全項目の適用結果と恒常警告を必ずログに残す |
| 収束（`--if-needed`） | 30分 | 巻き戻りを検出した時だけ動く。平常時は無音 |

## 4. 検定: 本番を触らずに、対照群で確かめる

### (a) 対象ディレクトリを環境変数で差し替えられるようにする

```js
export const TARGET_DIR = path.join(process.env.<ツール名>_ROOT || defaultRoot, 'tools');
```

本番の複製に対してだけ走らせれば、実環境を1バイトも変えずに検定できる。

```bash
cp -r <配布ディレクトリ> "$TMP/fake"
<ツール名>_ROOT="$TMP/fake" node repair.mjs --if-needed   # 1回目: REPAIRED が出て当たる
<ツール名>_ROOT="$TMP/fake" node repair.mjs --if-needed   # 2回目: 変更不要・exit 0・ログ増分 0
```

### (b) 旧版と新版を同じ複製に当てて出力を突き合わせる

既存モードの互換を壊していないことは、**旧版を実際に走らせて diff を取る**まで分からない。

```bash
git show HEAD:tools/repair.mjs > "$OLD/repair.mjs"     # ← ファイル名を変えないこと（後述）
<ツール名>_ROOT="$FAKE" node "$OLD/repair.mjs" --check > old.txt 2>&1
<ツール名>_ROOT="$FAKE" node tools/repair.mjs      --check > new.txt 2>&1
diff old.txt new.txt && echo "出力は新旧で完全一致"
```

🔴 **落とし穴**: CLI の起動条件が `path.basename(process.argv[1]) === 'repair.mjs'` のような
自己名判定になっていると、**別名で保存した旧版は何も出力せず無言で終わる**。
対照群が「0行 vs 49行」になって偽の不一致が出る。**旧版は同じファイル名でディレクトリを分けて置く。**

## 5. おまけ: `.bat` / `.cmd` で `exit=%RC%>>` がログに書かれない

Windows のラッパでよくある事故。

```bat
rem 壊れている: 数字の直後の >> がストリーム番号として解釈され、行が消える
echo [%DATE% %TIME%] exit=%RC%>> "%LOG%"

rem 正しい: 括弧で囲んで数字と >> を離す
(echo [%DATE% %TIME%] exit=%RC%)>> "%LOG%"
```

`%RC%` が `0` なら `exit=0>>` となり、cmd はこれを「ハンドル0（標準入力）のリダイレクト」と読む。
echo はコンソールへ出て、**ログには1行も残らない**。
ログに `exit=` 行が1つも見当たらないときは、ジョブが動いていないのではなくこれを疑う。

なお `.bat` / `.cmd` は ANSI コードページで読まれるため、**UTF-8 の非ASCIIコメントを書かない**。
化けた断片がコマンドとして実行される。先頭でコードページを変えても手遅れ。

## 6. 収束ジョブのラッパ（動いた時だけログを書く）

```bat
@echo off
rem Runs every 30 minutes. Only log when something was actually repaired.
rem ASCII only.
set LOGDIR=%USERPROFILE%\<ログ置き場>
if not exist "%LOGDIR%" mkdir "%LOGDIR%"
set TMPOUT=%TEMP%\repair-guard.out
"<node のフルパス>" "%~dp0repair.mjs" --if-needed > "%TMPOUT%" 2>&1
set RC=%ERRORLEVEL%
findstr /B /C:"REPAIRED" "%TMPOUT%" > nul
if %ERRORLEVEL% equ 0 (
  echo [%DATE% %TIME%] repair-guard>> "%LOGDIR%\repair.log"
  type "%TMPOUT%" >> "%LOGDIR%\repair.log"
  (echo [%DATE% %TIME%] exit=%RC%)>> "%LOGDIR%\repair.log"
)
del "%TMPOUT%" 2> nul
exit /b %RC%
```

判定に使う目印は**必ず ASCII**にする。`findstr` に非ASCIIを渡すとコードページで壊れる。

## 7. 効果の検定は「次に上書きが起きた後」でしかできない

貼り直した直後にパッチが在るのは当たり前で、**上書きがまだ起きていないだけ**かもしれない。
合格を宣言する前に、**上書きジョブが1回走った後**の状態を見る。
上書きの時刻が漂うなら、状態ファイル（同期の `last`）が更新されたことを確認してから判定する。

## チェックリスト

- [ ] 上書きする実体のコードを読み、**発火の契機**（時刻ではなく）を特定した
- [ ] ガード（N時間・状態ファイル）の有無を確認し、壁時計時刻が漂うかを判定した
- [ ] 「ローカル変更を守る保護」が前提崩れでスキップされていないか確認した
- [ ] 同一イベントのフックが並列か逐次かを確認した（並列なら「後段に置く」は捨てる）
- [ ] 貼り直しを `--if-needed`（状態検出）に変え、no-op を無音・exit 0 にした
- [ ] no-op の終了コードに恒常警告を混ぜていない
- [ ] 対象ディレクトリを環境変数で差し替え、**本番の複製**で1回目/2回目を実測した
- [ ] 旧版を**同じファイル名**で別ディレクトリに置き、既存モードの出力一致を diff で確認した
- [ ] ラッパの `exit=` 行が実際にログに出ることを目視した
- [ ] 上書きが1回起きた**後**に、パッチが生存していることを確認した

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<!-- 出典: マキモノ (同期で巻き戻る設定を「固定時刻の貼り直し」で守ろうとして失敗する — 状態の検出で駆動する収束に変える v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/md-1238f442 -->
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