# AI に壊させない「変換」の作り方 — 不変条件とリトライ閾値の設計

AI に「このファイルを圧縮して」「この形式に移行して」「重複を整理して」と頼むと、
**指示どおり動いたのに情報が消える**ことがある。実際に踏んだ2つの失敗と、その予防策をまとめる。
どちらも特定の言語・サービスに依存しない。

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## 失敗1: 不変条件が弱いと、機械的変換でも情報が黙って消える

索引ファイル（1行1エントリの一覧）が読み込み上限に近づいたので、AI に圧縮ツールを書かせた。
仕様には検証条件をこう書いた:

> 変換前後で `*.md` のリンク集合が完全一致することを assert し、壊れたら中止する

ツールは仕様どおり動き、assert も通った。しかし出力はこうなった:

```
- [User: 経営者プロフィール](user_role.md) [[user_device]] [[user_company]] — 4社の設立/代表/実績
```

リンクは1本も失われていない。だが **エントリのタイトルと説明（— のあとの hook）が消え**、
残った説明が別エントリのものに付いていた。索引の目的は「開かずに中身が分かること」なので、
リンクだけ残っても価値はゼロ。**実装は正しく、仕様が誤っていた。**

### なぜ起きるか

検証条件は「壊れたら困るもの」ではなく **「機械的に書きやすいもの」** を選んでしまう。
ID・ファイル名・件数は書きやすい。一方、意味を担っているフィールド（タイトル・説明・出典・単位・注記）は
書きにくい。弱い不変条件は「検証した」という誤った安心を生むぶん、**無検証より危険**。

### 予防策

1. **人間がその出力を読むときに見るフィールドを列挙**し、そのすべてに集合一致の assert を置く。
   上の例なら ①リンク集合 ②**タイトル集合** ③**説明（hook）集合** の3つ。

```js
function assertInvariants(before, after) {
  const sets = {
    links:  (t) => new Set(t.match(/[\w-]+\.md/g) || []),
    titles: (t) => new Set([...t.matchAll(/\[([^\]]+)\]\(/g)].map((m) => m[1])),
    hooks:  (t) => new Set([...t.matchAll(/—\s*([^／\n]+)/g)].map((m) => m[1].trim())),
  }
  for (const [name, extract] of Object.entries(sets)) {
    const a = extract(before), b = extract(after)
    const lost = [...a].filter((x) => !b.has(x))
    if (lost.length) throw new Error(`${name} が ${lost.length} 件失われた: ${lost.slice(0, 5).join(' / ')}`)
  }
}
```

2. **1つでも壊れたら書き換えを中止して異常終了**する。「警告して続行」にしない。
3. **`--dry-run` を先に作り、実データで目視してから `--apply`**。上の失敗は dry-run の出力を読んで気付けた。
   dry-run が無いツールは、最初の実行が本番になる。
4. **バックアップを取ってから書く**（`<file>.bak-YYYYMMDD-HHMM`）。
5. 目標（行数・サイズ）に届かないときは **勝手に内容を削らず**「これ以上は機械的に畳めない」と言って正常終了する。
   目標を達成させようとすると、AI は最後に必ず「削る」を選ぶ。
6. **LLM に一発で全文を書き換えさせない。** 機械的変換＋assert に落として、LLM は**仕様を書く側**に置く。
   実測: 索引を LLM に一括で書き直させたとき、リンクが 161 → 57 に減っていたのに完了報告は「圧縮しました」だった。

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## 失敗2: 「N回失敗で打ち切り」は試行レートに依存する

無人で回るバッチに、暴走防止の打ち切りを入れていた。

```
5回連続で失敗した対象は処理を止める（最終失敗から3日経過したらカウンタを捨てて再開）
```

これは **1晩に1回しか試行されない前提**で書かれていた＝実質「5晩ダメなら止める」。

その後、走査順を「リスト先頭から時間制限まで」→「未着手・未完を優先するカーソル方式」に変えた。
すると **全対象が毎スロット試行される**ようになった（1晩7スロット）。結果、
処理対象が無い（＝毎回失敗する）対象が **1晩で 5回に到達して停止**した。
打ち切り自体は設計どおりでも、「一時的な失敗でも1晩で3日間止まる」のは設計意図と違う。

### なぜ起きるか

閾値は「回数」で書くと読みやすいが、意味は常に **回数 ÷ 試行レート = 時間**。
性能改善やスケジューリング変更はレートを変えるので、
**一見無関係な変更が閾値の意味を静かに書き換える**。

### 予防策

1. 無人リトライの打ち切りは **時間軸で数える**。「失敗した**異なる日付**の集合」を保存し、その要素数で判定する。
   同じ日の再試行はカウントしない。

```js
const DAY_MS = 86400000, COOLDOWN_MS = 3 * DAY_MS, MAX_DAYS = 5

function dayKey(ms, tzOffsetHours) {          // ローカル日付で数える
  return new Date(ms + tzOffsetHours * 3600000).toISOString().slice(0, 10)
}

function recordFailure(prev, nowMs, tz) {     // 同日は増やさない
  const days = Array.isArray(prev.days) ? [...new Set(prev.days)]
    : (prev.lastMs ? [dayKey(prev.lastMs, tz)] : [])   // 旧形式 {n,lastMs} からの移行
  const today = dayKey(nowMs, tz)
  if (!days.includes(today)) days.push(today)
  return { days: days.slice(-10), lastMs: nowMs }
}

function shouldSkip(state, nowMs) {           // 期限切れを必ず入れる
  const distinct = new Set(state.days || []).size || Number(state.n) || 0
  return distinct >= MAX_DAYS && state.lastMs > 0 && nowMs - state.lastMs < COOLDOWN_MS
}
```

2. **打ち切りには必ず期限切れを入れる。** 永久停止は「静かに対象が消える」事故になる。
   ただし**打ち切り自体は消さない**（外部APIを叩き続けてアカウントが凍結された実例がある）。
3. **既存データの移行を忘れない。** 旧形式（`{n, lastMs}`）も読めるようにし、
   移行前に貯まったカウンタはクールダウンで自然回復させる。回復までの日数を運用メモに書く。
4. スケジューリングや走査順を変えるレビューでは
   **「この変更で試行レートが何倍になるか」** を1行で確認し、
   倍率が変わるなら**回数で書かれた全ての閾値・クォータ・上限を洗い出す**。
5. 変更後は**カウンタの実物を読む**。`回数` / `停止中か` / `最終失敗時刻` を見る。
   **カウンタが残っている = その試行は成功していない**（成功時に削除する実装なら）。

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## 共通の教訓

- **assert は「壊れたら困るもの」に掛ける。書きやすいものに掛けると、検証した気になるだけ。**
- **閾値は単位を疑う。** 回数・バイト・件数で書かれた条件は、レートやサイズ分布が変わると意味が変わる。
- AI に実装を任せるほど、**仕様の穴がそのまま出力の穴になる**。実装のレビューだけでなく
  「この仕様で守りたいものが全部守れるか」を先に読み返す。
- 直したあとは**実データで1回動かして目で見る**。テストが緑でも、仕様が誤っていれば緑になる。

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<!-- 出典: マキモノ (AIに壊させない「変換」の作り方(不変条件とリトライ閾値) v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/md-04fc0910 -->
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