# 複数LLMプロバイダのフォールバック連鎖に新しい実行者を安全に追加する

コスト削減のために「安いLLMから順に試し、落ちたら次へ」というフォールバック連鎖を持っている環境で、
**新しいプロバイダを実測にもとづいて正しい位置に差し込み、静かに壊れないことを保証する**ための手順書。

対象: OpenAI互換（`/chat/completions`）のエンドポイントを持つプロバイダ全般。

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## 0. 前提となる設計（まだ無ければ先にこれを作る）

- `llm-fallback.mjs`: `FALLBACK_CHAIN`（順序付き配列）と `callWithFallback()` を持つ。
  - `classifyFailure(status)`: `429` と `5xx` と ネットワーク断 は **retry**、それ以外（`401/402/403`）は即 **next**。
    無料枠切れ(`402`)や鍵ミス(`401`)でリトライするのは待ち時間の無駄。
  - キーが無い候補は `payloadFor()` が `null` を返して**エラーにせず素通り**する。
- `llm-ask.mjs`: `PROVIDERS` 表（`base` / `keyEnv` / `keyFile` / `model`）を持ち、`--provider` で1本化。

## 1. 「入れるかどうか」を実測で決める（憶測で足さない）

同じ難易度のタスクを **N問 × 3回** 全プロバイダに投げ、次の4指標を取る。

| 指標 | 意味 | 落とし穴 |
|---|---|---|
| 成功率 | 期待どおりの出力を返した割合 | **正規表現による自動採点は上位モデルを不当に落とす**（冗長な前置きを付けるため）。採点条件を緩めるか目視する |
| \$/task | 実測単価 | 公称単価ではなく実際の usage から出す |
| 中央値レイテンシ | 体感速度 | 平均は外れ値に引っ張られる |
| **到達性 (n/N)** | そもそも応答が返った回数 | **これが最重要**。無料枠のプロバイダは `429` や `402` で沈黙する |

判断ルール:
- **既存の後段候補より「成功率」と「\$/task」の両方で上回るなら、その候補の前に入れる。**
- 到達性が満点でないプロバイダを**後段**に置いてはいけない（後段は最後の砦なので必ず繋がる必要がある）。
- 到達性が低くても**安ければ前段**に置く価値はある（落ちても後段が拾う）。

## 2. 実装（3ファイルだけ触る）

```js
// llm-ask.mjs — PROVIDERS に1行足すだけ
newprovider: {
  base: 'https://api.example.com/v1/chat/completions',
  keyEnv: 'NEWPROVIDER_API_KEY',
  keyFile: 'newprovider.env',
  model: '<モデルID>'
},
```

```js
// llm-fallback.mjs — 実測で決めた位置へ差し込む
export const FALLBACK_CHAIN = Object.freeze([
  { provider: 'fastest_cheap', model: '...' },
  { provider: 'newprovider',   model: '...' },   // ← ここ
  { provider: 'last_resort',   model: '...' },
]);
```

`--provider` の usage 文字列にも新しい名前を足す（忘れると「対応していない」と誤解される）。

## 3. 回帰テストは「配列全体」を pin する ← ここが本題

```js
test('フォールバック候補は指定された順序である', () => {
  const providers = FALLBACK_CHAIN.map(({ provider }) => provider);
  assert.deepEqual(providers, ['a', 'b', 'newprovider', 'c']);   // 全体を固定
  assert.ok(providers.indexOf('newprovider') < providers.indexOf('c'));
});
```

**`slice(0, 2)` や `includes()` による部分検査は禁止。**
複数人・複数エージェントが同じリポジトリを触る環境では、
**別ブランチが古い基点から同じ配列を編集し、あなたのエントリを消したまま緑で通る**ことが実際に起きる。
配列全体を `deepEqual` で固定していれば、その時に **merge conflict か CI 赤**として必ず可視化される。

同じ理由で、順序が意味を持つ共有定数（優先度リスト・ルーティング表・権限順）はすべて全体 pin にする。

## 4. 検証（ユニットテストだけで「動く」と言わない）

4段階すべて通してから完了とする。

```bash
# ① ユニット
node --test tools/llm-fallback.test.mjs

# ② 実キーで単体疎通（フォールバックを切って、その1社だけを叩く）
node tools/llm-ask.mjs --provider newprovider --no-fallback "1+1は? 数字だけ"

# ③ 多段フォールバックの実走 ← いちばん重要
#    先行候補の鍵を「無効な値」で上書きして起動する。未設定にすると素通りされて
#    フォールバック経路そのものを検証できないので、必ず "無効値" にすること。
A_API_KEY=bogus B_API_KEY=bogus node tools/llm-ask.mjs --provider a "日本の首都は?"
#    期待: [failover] a HTTP401 → b / [failover] b HTTP401 → newprovider / 応答本文
```

```bash
# ④ 配布している場合: 利用者が実際に取得するURLを叩いて新版が配信されているか確認
curl -s "https://<配布元>/<path>/llm-fallback.mjs?cb=$RANDOM" | grep newprovider
```

`--no-fallback` を付け忘れると②が別プロバイダの成功を拾ってしまい、
**鍵が壊れていても「動いた」と誤判定する**。

## 5. ドキュメントの矛盾を必ず消す

実測で方針が変わったなら、**過去に「この実行者は使わない」と書いた運用ドキュメントを同じPRで直す**。
チェーンだけ変えてドキュメントを残すと、次に読んだAI/人が古い記述に従って元に戻す。

## 6. レビュー観点（実装をコード生成AIに委譲した場合は特に）

- diff の**削除行**を読む。指示していない既存挙動（リトライ回数・失敗分類・待機ロジック）が変わっていないか
- 鍵未設定のマシンで**エラーにならず素通り**するか
- 台帳/ログに新プロバイダ名が正しく記録されるか（コスト集計が壊れない）

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## チェックリスト

- [ ] 実測4指標（成功率 / \$per task / レイテンシ / 到達性）を取った
- [ ] 後段に置く候補の到達性が満点である
- [ ] `PROVIDERS` / `FALLBACK_CHAIN` / usage文字列 の3箇所を更新した
- [ ] 順序テストが**配列全体**を `deepEqual` で固定している
- [ ] `--no-fallback` 付きの単体疎通が通った
- [ ] 先行候補を**無効値**で潰した多段フォールバックが新候補に到達した
- [ ] 矛盾する運用ドキュメントを同じPRで直した

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<!-- 出典: マキモノ (複数LLMプロバイダのフォールバック連鎖に新しい実行者を安全に追加する v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/llm -->
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