# 「直したのに効いていない」を潰す — hook と夜間ジョブが読むチェックアウトを検査する

AI コーディングエージェント（Claude Code / Codex CLI 等）に hook や夜間バッチを組ませると、
**main を直したのに実際に動いているのは古いコード**という状態が静かに発生する。
エラーは出ない。テストも緑。だから何ヶ月でも気付けない。

この指示書は、その構造を検査して毎朝1通だけ通知する仕組みの作り方をまとめる。

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## なぜ起きるか — 「直した場所」と「動く場所」が違う

典型的な構成では、同じリポジトリが**複数の実体**として存在する。

| 実体 | 誰が読むか | 更新のされ方 |
|---|---|---|
| 作業チェックアウト | 人間とエージェントが編集する | 手動。ブランチが固着しがち |
| hook 実行パス | 設定ファイルが絶対パスで指す | 作業チェックアウトと同じとは限らない |
| ジョブ用チェックアウト | 夜間バッチのブートストラップ | 毎回 `git reset --hard origin/main` |

ここから2つの逆向きの事故が出る。

**事故A: 直したのに反映されない**
夜間バッチが `reset --hard origin/main` する専用チェックアウトから動く場合、
作業ツリーをいくら直しても**push するまで夜間には効かない**。
実例: あるバッチのステップを「設定が悪い」と判断して直したが、
真因は**そのステップ自体が未コミットで、本番では一度も実行されていなかった**。
その夜のログにステップ名が出ていないことで初めて分かった。

**事故B: 直したのに古い版が動き続ける**
hook は設定ファイルに書かれた絶対パスの実体を実行する。
そのチェックアウトが古いブランチに固着していると、main を直しても**hook は古い版を実行し続ける**。
実例: hook 実行パスのチェックアウトが 68 コミット遅れており、
hook が呼ぶ 36 ツールのうち **12 ツールが main と不一致**だった。
毎回発火するガードが古い版で動いていたのに、誰も気付いていなかった。

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## 検査の設計

### 原則1: 判定は「遅れコミット数」ではなく「実行されるファイルの内容一致」

コミット数で判定してはいけない。

- **遅れていても中身が同じなら実害はない**（触っていないファイルばかりなら問題ない）
- **遅れ0でもローカル改変が乗っていれば実害がある**

だから比較するのは「**設定ファイルが実際に指しているファイル**」の内容と、
`git show origin/main:<相対パス>` の内容。この2つが違うときだけ報告する。

### 原則2: 修正コマンドを出さない

「`git reset --hard` してください」と書きたくなるが、**書いてはいけない**。
作業ツリーには他の作業者・他セッションの未コミット変更が乗っていることがある
（実例では 66〜162 ファイル）。機械的な reset を促すと、それを丸ごと消す事故になる。
検査は「食い違っている」という事実の提示に留め、**どう直すかは人間に委ねる**。

### 原則3: 「まだ main に無いファイル」は食い違いに数えない

新規に追加したツールは main に存在しない。これを毎日「不一致」と報告すると、
正常な開発中の状態が永久に警告され、通知が読まれなくなる。
`git show origin/main:<path>` が失敗したファイルは**対象外**にする。

### 原則4: 取得できなかったら「異常なし」ではなく「スキップ」

オフラインや、そもそも git リポジトリでないディレクトリを設定が指していることがある。
`git fetch` が失敗したチェックアウトは**判定をスキップし、理由を1行残す**。
黙って「異常なし」にすると、検査が死んでいることに気付けない。

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## 実装

### 手順1: 設定ファイルから「実際に実行されるファイル」を抜き出す

設定の全イベントを再帰的に走査し、コマンド文字列から実行対象のパスを取る。
`node "<path>"` と `-File "<path>"` の両方の形に対応する。引用符の有無も。

```js
export function extractHookToolPaths(settings) {
  const found = new Set();
  const visit = (value) => {
    if (Array.isArray(value)) return value.forEach(visit);
    if (!value || typeof value !== 'object') return;
    if (typeof value.command === 'string') {
      const regex = /(?:^|\s)(?:node\s+|-File\s+)(?:"([^"]+\.(?:mjs|ps1))"|'([^']+\.(?:mjs|ps1))'|([^\s"']+\.(?:mjs|ps1)))(?=\s|$)/gi;
      for (const m of value.command.matchAll(regex)) found.add(m[1] || m[2] || m[3]);
    }
    Object.values(value).forEach(visit);
  };
  visit(settings?.hooks);
  return [...found];
}
```

**設定の構造を決め打ちしない**こと。イベント名が増えても壊れないよう、再帰で全部拾う。

### 手順2: チェックアウトのルートごとにまとめる

各パスから上へ `.git` を探してルートを決める。
**複数のチェックアウトが混在しうる**ので、ルートごとにグループ化する。

同じリポを2箇所に置いていると、ディレクトリ名（basename）だけでは区別できない。
**親ディレクトリ名を添える**（`workspace/myrepo` と `Downloads/myrepo` のように）。
どちらを直せばいいか分からない通知は、無いのとほぼ同じ。

### 手順3: 内容を比較する

```js
const relative = path.relative(root, filePath).replaceAll('\\', '/');
const mainFile = await git(['show', `origin/main:${relative}`], { cwd: root });
if (mainFile.status !== 0) continue;            // main に無い新規ツール → 対象外
const local = fs.readFileSync(filePath, 'utf8');
if (local !== mainFile.stdout) mismatched.push(path.basename(filePath));
```

`git fetch origin main` は**タイムアウト付き**（20秒程度）で実行する。
夜間ジョブが1本のネットワーク待ちで永久に眠らないように。

### 手順4: 通知は「異常がある時だけ」

平穏な日に通知が来ると、人は通知を読まなくなる。次を守る。

- 異常0件なら**何も送らない**
- 補足情報（未登録の項目、既知の問題の抑制件数）は**それ単独では通知を発火させない**。
  異常があるときに末尾へ添えるだけ
- 同じ内容は24時間再送しない。ただし24時間経ったら**同じ内容でも再送**する
  （直っていない問題を忘れないため）

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## 併せて必要になる「誤検知を殺す」設計

この種の検査は、ログ本文をキーワードで走査する処理と組み合わせることが多い。
実データで動かすと**誤検知の洪水**になるので、最初から次を入れておく。

### ゼロ件カウンタを失敗と読まない

成功行が失敗判定に引っかかる。実測で拾ってしまった例:

```
[probe] https: ok=true status=200 ms=60 error=-
✅ 完走（成功38 / timeout0 / 失敗0）
health: alive=4 dead=0 error=0
```

キーワードの直後が「区切り＋0 または -」なら失敗と見なさない、という除外を入れる。

### 散文が流れ込むログをキーワード走査しない

AI が書いた要約文・レポート本文がそのままログに入る種類のログがある。
そこには「失敗」「error」という語が**正常な文章として**含まれる。
永久に誤検知するので、ログごとに走査モード（キーワード走査 / 存在チェックのみ）を
設定で明示し、**既定は走査しない**方に倒す。

### バージョン管理ツールの出力を除外する

`HEAD is now at <sha> <コミット件名>` のような行がログに混ざる。
**コミット件名には任意の語が入る**。実例では「失敗検知を追加」という件名が
失敗として報告された。`HEAD is now at` / `From https://` などで始まる行は判定から外す。

### 既知の問題はベースラインで抑制する

作業ツリーが常に完全に綺麗とは限らない。既知の未解決項目を毎日通知すると
通知が読まれなくなる。ベースラインファイルに既知分を記録し、
**ベースラインに無い新規分だけ**を通知する。ただし:

- ベースラインの更新は**手動コマンドでのみ**。自動更新にすると
  新しい問題が勝手に「既知」になって検知が死ぬ
- 抑制した件数は**必ず1行表示**する。黙って消さない

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## 導入時の一手間: 初回だけ「基準を記録して通知しない」モードを用意する

差分方式の検査を入れた初日は、過去に溜まった（多くは解決済みの）事象を全部拾ってしまう。
最初の通知が古い話で埋まると、その通知は信用されなくなる。

`--prime` のようなオプションを用意し、**基準だけ記録して通知しない**実行を1回できるようにする。
2回目以降は「前回以降に増えた分」だけが対象になる。

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## 検証の作法 — テストが緑でも完了ではない

この種のツールは、**テストが通っても現実では動かない**ことが極めて多い。
実際に踏んだ例を挙げる。

- テスト実行を子プロセスで起動する処理で、シェル経由にしたためパスが空白で分断され
  （`C:\Program Files\...` が `C:\Program` になる）、**テストが一度も実行されていなかった**。
  それでも「失敗0件」を返すので緑に見えた
- テスト結果の件数抽出が、実行系の既定の出力書式と違う前置き文字を見ていて**常に0件**を返していた
- LLM 応答の検証が厳しすぎて例外を投げ、`catch {}` が握り潰して**毎回フォールバック**していた。
  痕跡が何も残らないので「動いている」と誤認していた
- パス変換のコードが特定の実行環境を前提にしており、**別環境では必ず失敗**していた

だから委譲の完了条件は必ずこう書く。

> テストが緑であることに加えて、**実データで実行し、その出力を貼ること**。
> 次の誤検知が0件であること: （具体的に列挙）。
> 次の値が期待どおりであること: （具体的に列挙）。

抽象的な指摘は同じ穴を再生産する。**実測値を添えて差し戻す**。
「25件中これとこれが誤検知」「この行が拾われている」と現物を渡す。

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## この仕組みが返してくれるもの

- 「直したのに効いていない」状態が**翌朝には分かる**
- 平穏な日は**通知が来ない**ので、通知が来たら本物だと信じられる
- 誰も見ていなかった劣化（古いガード、止まったジョブ、増え続ける放置分）が
  人間の記憶に依存せず表に出る

逆に、この仕組みを入れずに hook や夜間ジョブを増やすと、
**動いているつもりの自動化**だけが積み上がる。それは自動化が無い状態より危険で、
「ガードがあるから大丈夫」と誤認したまま検査を通り抜けてしまう。

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<!-- 出典: マキモノ (「直したのに効いていない」を潰す — hook と夜間ジョブが読むチェックアウトを検査する v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/hook -->
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