# google.script.run の null が undefined になる罠と、本番だけ出る NaN 表示の自動検出

Google Apps Script のウェブアプリで、**サーバ側の `null` がブラウザ側で `undefined` になって届く**ことによる表示バグと、その再発を機械的に止める方法。単体テストでは原理的に検出できない種類の不具合を対象にする。

## 症状

画面に `NaN` が出る。よくある出方:

- 集計見出しが `実績 NaN個 / 予定比 NaN%`
- 表のセルが `NaN人` `NaN円` `NaN件`

しかもサーバ側のデータを直接読むと、その項目は正しく `null`（＝未入力）になっている。ログにもエラーが出ない。

## 原因

`google.script.run` の戻り値はブラウザへ渡る途中で独自にシリアライズされ、**オブジェクトのプロパティが `null` のとき `undefined` として届くこと**がある。そのため次の分岐が素通りする。

```js
// 危険: undefined は null と等しくないので else 側へ落ちる
`${v === null ? "—" : `${n(v)}個`}`   // n(undefined) → NaN
```

`Number(undefined)` は `NaN` なので、そのまま画面に出る。

### なぜテストで見つからないか

これが厄介なのは、**同じデータでも取得経路によって現れ方が違う**点にある。

| 経路 | `null` の届き方 | NaN が出るか |
| --- | --- | --- |
| `google.script.run`（実ブラウザ） | `undefined` になることがある | **出る** |
| `JSON.stringify` を通す経路（コマンドキュー、Web API、ログ出力） | `null` のまま | 出ない |

サーバ側のロジックを配列で叩く単体テストはもちろん、**サーバの戻り値を JSON で保存した fixture を画面に食わせるヘッドレス検証でも再現しない**。実ブラウザで人が見るまで誰も気付かない。

## 対処

### 1. 数値表示を1か所に集約する

「数値として表示できる値だけを返し、それ以外は `null` に畳む」ヘルパーを1つ用意し、表示の分岐はこれを通す。

```js
// 数値として表示できる値だけを返し、それ以外は null にする。
// google.script.run はサーバ側の null を undefined にして渡すことがあり、
// null 判定だけだと Number(undefined) が NaN になって画面に出る。
function num(v) {
  return v === null || v === undefined || v === "" || !Number.isFinite(Number(v))
    ? null
    : Number(v);
}
```

使い方:

```js
// 修正前
`${v === null ? "—" : `${n(v)}個`}`
// 修正後
`${num(v) === null ? "—" : `${n(v)}個`}`
```

**すでに `?? ""` を通しているエスケープ関数は無害。** 例えば `esc(v)` の実装が `String(v ?? "")` なら、`undefined` でも空文字になるので壊れない。危ないのは `Number()` を経由する表示だけ。既存コードを直すときは `=== null` / `!== null` を全部拾い、そのうち数値表示に使われているものだけを `num()` へ寄せる。

### 2. 「null を undefined に落とした fixture」で描画して自動検出する

`jsdom` で画面を組み立てる検証を持っているなら、**同じ fixture の `null` を再帰的に消してから描き直し、`NaN` が1つも出ないことを判定する**。これで実ブラウザ固有の差を CI で捕まえられる。

```js
// google.script.run はサーバ側の null を undefined にして渡すことがある。
// JSON 経由では null のまま届くため、この差は実ブラウザでしか現れない。
function dropNulls(value) {
  if (Array.isArray(value)) return value.forEach(dropNulls);
  if (!value || typeof value !== "object") return;
  for (const [key, item] of Object.entries(value)) {
    if (item === null) delete value[key];
    else dropNulls(item);
  }
}

const nullFreeFixture = JSON.parse(await fs.readFile(fixturePath, "utf8"));
dropNulls(nullFreeFixture);
await reloadWith(nullFreeFixture);   // fixture を差し替えて画面を描き直す

for (const tabName of ["<検証したい画面1>", "<検証したい画面2>"]) {
  document.querySelector(`#tabs button[data-t="${tabName}"]`).click();
  // NaN を含む最も内側の要素だけを挙げ、どの表示が壊れたか一目で分かるようにする。
  const found = [...document.querySelectorAll("#app *")]
    .filter((el) => el.textContent.includes("NaN")
      && ![...el.children].some((child) => child.textContent.includes("NaN")))
    .map((el) => `<${el.tagName.toLowerCase()}> ${el.textContent.replace(/\s+/g, " ").trim().slice(0, 60)}`);
  if (found.length) throw new Error(`${tabName} に NaN が${found.length}箇所: ${[...new Set(found)].slice(0, 3).join(" ／ ")}`);
}
```

**失敗メッセージは「最も内側の要素」に絞ること。** 画面全体のテキストを出すと数千文字のブロックになり、どこが壊れたのか読み取れない。上の形なら `<td> NaN人` と出る。

### fixture の差し替えと再描画

fixture をモジュールスコープの `let` にしておき、モックの応答関数がそれを返すようにしておくと差し替えられる。再描画の完了は、**再描画前の要素が DOM から外れたこと**で判定するのが確実（内容が同じだと文字列比較では判定できない）。

```js
async function reloadWith(next) {
  const stale = document.querySelector("#tabs button");
  fixture = next;
  window.reload();                       // アプリ側の再取得＋再描画
  await waitFor(() => !document.contains(stale));
}
```

判定が終わったら**元の fixture に戻してから**画面ダンプを書き出す。差し替えたままだと、あとでダンプを読んだ人が実データと取り違える。

## 導入時に必ず起きること

この判定を入れると、**その場で未発見の同型バグが出てくる**のが普通。実例では、月見出しの `NaN個 / NaN%` を直した直後にこの判定を追加したところ、別の列（未入力の人数欄）が `NaN人` になっていたことが即座に分かった。人が見ていた画面にずっと出ていたのに、誰も報告していなかった。

最初の実行で FAIL が出ても検証コードを疑わず、**まず画面を疑うこと**。

## チェックリスト

- [ ] `num()` に相当する正規化ヘルパーを1つ用意した
- [ ] `=== null` / `!== null` を全部拾い、数値表示のものを `num()` に寄せた
- [ ] `null` を落とした fixture で全画面を描き直す判定を追加した
- [ ] 失敗メッセージが「最も内側の要素」に絞られている
- [ ] 判定後に元 fixture へ戻してからダンプを書き出している
- [ ] 初回実行で出た FAIL を、検証コードではなく画面の側で直した

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<!-- 出典: マキモノ (google.script.run の null が undefined になる罠 — 本番だけ出る NaN 表示の自動検出 v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/google-script-run-null-undefined-nan -->
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