# GAS の夜間バッチを「必ず完走」させる設計（6分制限・再開・作り置き）

Google Apps Script のトリガーで「全レコードを LLM に読ませて要約を作り置きする」型のバッチは、
素直に書くと **永久に完走しない**。実運用で5晩回しても 1/5 の進捗のまま止まった実例をもとに、
原因3つと、それぞれの直し方をコードの形で示す。GAS 以外（Lambda/Cloud Functions など
実行時間に上限があり、状態を外に持つしかない環境）でもそのまま通じる。

## 前提とする処理の形

```
夜間トリガー（例: 01:00〜04:00 を30分刻みで7回）
  → 対象レコード一覧を取得
  → 各レコードについて「添付資料を全部 LLM に投げて要約」
  → 結果をシート/DBに作り置き
  → 昼間の生成処理は作り置きを読むだけ（= 表示が速く、課金も1回で済む）
```

1回の実行は **6分**（GAS の上限）で強制終了される。1レコードの処理が数十秒〜2分かかるなら、
1回の実行で進むのは1〜2件。ここから先が本題。

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## 原因1: リストの後方が永久に飢える

```javascript
// ❌ 毎回リストの先頭から走査する
for (var i = 0; i < records.length; i++) {
  if (Date.now() - started > START_CUTOFF_MS) break;   // 新規着手の締切
  var materials = collectMaterials(records[i]);         // ここが数秒かかる
  if (isUpToDate(records[i], materials)) continue;      // スキップ判定のために毎回走査している
  process(records[i]);
}
```

締切に達すると break するので、**リスト後方のレコードには毎晩到達しない**。
しかも「スキップ判定のため」に、更新の必要がないレコードまで毎回重いスキャンを払っている。

### 直し方: 順序決定を「安いデータ」だけで行う

進捗の台帳を Script Properties（= 外部ストア）に1件だけ持ち、
**並べ替えの段階では外部 API を一切呼ばない**。重いスキャンは「今回着手すると決めた分」にだけ払う。

```javascript
var LEDGER_KEY = 'BATCH_LEDGER';
var RECHECK_MS = 20 * 60 * 60 * 1000;   // 完了済みの再確認は1日1回で十分

// 台帳: { "<id>": { s: '部分'|'完了', d: 済チャンク, t: 全チャンク, c: 最終確認ms, p: 部分になったms } }
function orderRecords(records, ledger, nowMs) {
  return (records || []).map(function (r, index) { return { r: r, i: index, e: ledger[String(r.id)] }; })
    // 完了済みで、かつ最近確認したものは今回の候補から外す
    .filter(function (x) { return !x.e || x.e.s !== '完了' || nowMs - (Number(x.e.c) || 0) >= RECHECK_MS; })
    .sort(function (a, b) {
      // 未着手(0) → 部分(1) → 完了(2)
      var ap = !a.e ? 0 : a.e.s === '部分' ? 1 : 2;
      var bp = !b.e ? 0 : b.e.s === '部分' ? 1 : 2;
      if (ap !== bp) return ap - bp;
      if (ap === 1) return (Number(a.e.p) || 0) - (Number(b.e.p) || 0) || a.i - b.i;  // 古い未完から
      if (ap === 2) return (Number(a.e.c) || 0) - (Number(b.e.c) || 0) || a.i - b.i;  // 古い確認から
      return a.i - b.i;
    }).map(function (x) { return x.r; });
}
```

**カーソル（最後に処理した位置）より台帳の方がよい**。カーソルは「失敗したものを飛ばし続ける」か
「同じものを再試行し続ける」のどちらかに転びやすいが、台帳は未完を必ず先に持ってくる。
1レコード処理するたびに台帳を保存すること（実行が途中で殺されても進捗が残る）。

Script Properties は 1値あたりのサイズに上限があるので、キーは短縮名にし、
上限に近づいたら「完了済みで最終確認が古いもの」から間引く。

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## 原因2: 入力が1件変わると全チャンクを捨てて最初からやり直す

大きなレコードは資料を複数チャンクに割って、1実行=1チャンクで部分保存し次回再開する。
このとき進捗の再利用条件を「レコード全体のフィンガープリント一致」にすると——

```javascript
// ❌ 全体 fp が1文字でも変われば、済んでいた要約を全部捨てる
if (storedFingerprint === currentFingerprint && storedState === '部分') { reuse(); }
```

稼働中のレコードは資料が動き続けるので、**完走する前に必ずやり直しになる**。
5晩かけても 1/5 のまま、という症状はこれ。

### 直し方: フィンガープリントをチャンク単位で持つ

```javascript
function chunkFingerprint(chunkItems) {           // 全体 fp と同じハッシュ実装を共有する
  return fingerprint(chunkItems);                 // 対象は「そのチャンクに入る id:更新日時」だけ
}

// 保存時: 「チャンクN要約」の見出し行の隣のセルに、そのチャンクの fp を書く
rows.push(['チャンク' + (i + 1) + '要約', chunkFingerprints[i], '']);

// 再開時: インデックス一致ではなく fp 一致で引き当てる
function parseProgress(rows, fingerprint, chunkTotal, chunkFingerprints) {
  var byFingerprint = {}, summaries = [];
  // …保存済みの (fp → 要約) 辞書を作る…
  if (chunkFingerprints && Object.keys(byFingerprint).length) {
    chunkFingerprints.forEach(function (fp, index) {
      if (byFingerprint[fp]) summaries[index] = byFingerprint[fp];   // 変わっていないチャンクは流用
    });
  }
  return { summaries: summaries, chunkTotal: chunkTotal };
}
```

これで「資料が1件増えて 5→6 チャンクになった」ときも、既存5本の要約はそのまま使い、
新しい1本だけ課金される。**状態が『完了』の行の要約も再利用対象に含める**のを忘れないこと
（完了後に資料が1件増えるケースが最も多い）。

fp 列が無い旧データは従来条件（全体fp一致 かつ 部分）でのみ再利用する、と分けておけば後方互換になる。

処理ループも「先頭から連続」ではなく**穴埋め**に変える（途中のチャンクだけ欠けた状態が普通になる）:

```javascript
for (var i = 0; i < total; i++) {
  if (summaries[i]) continue;                                  // 流用できたものは飛ばす
  if (processed >= maxChunksPerRun || now() - started >= budget) break;
  summaries[i] = processChunk(i);
  processed++;
  savePartial(summaries);                                      // 1チャンクごとに部分保存
}
```

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## 原因3: 自分の生成物を入力として読み直している（ハルシネーションの自己強化）

作り置きの出力をレコードのフォルダに書いていると、**次回はそれが入力に混ざる**。
害は2つ。①過去の生成物の誤りが「資料に書かれた事実」として固定される
②一次資料（規定・実測・図面）と二次生成物が同じ重みで混ざる。
さらに、生成するたびに入力集合が変わるので**原因2のやり直しを毎回引き起こす**。

```javascript
// ✅ 命名規約で機械的に外す。語ではなく「接頭辞」で判定するのが安全
function isAppGenerated(label, recordId) {
  var name = String(label || '').normalize('NFC');
  var id = String(recordId || '').normalize('NFC');
  if (!id || name.indexOf('議事録') >= 0) return false;         // 一次情報は残す（例外を先に置く）
  return name.indexOf(id + '_') === 0 || name.indexOf('<出力プレフィックス>') === 0;
}
```

- 除外理由は `reason: 'app_generated'` のようにラベル付けし、デバッグコマンドから見えるようにする。
- **「初版」「スライド」「手順」のような一般語で除外してはいけない**。顧客・取引先が同じ語を使う。
- 生成物の命名を最初から `<recordId>_…` / 固定プレフィックスに寄せておくと、この判定が1行で済む。

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## 仕上げ: 止まったまま放置されない仕掛け

### 部分のまま滞留したら確定させる

入力が動き続けるレコードは、理屈上いつまでも「部分」になれる。逃げ道を用意する。

```javascript
function shouldFinalizePartial(v) {
  return Number(v.chunksDone) >= 1 && Number(v.chunkTotal) > Number(v.chunksDone)
    && Number(v.partialSinceMs) > 0 && Number(v.nowMs) - Number(v.partialSinceMs) >= 5 * 24 * 3600 * 1000;
}
```

確定させるときは、**それが部分であることを本文に残す**
（`注記` 行を書き、読み出し側が本文先頭に「一部のみ反映」と付ける）。黙って完成扱いにしない。

### 失敗カウンタは必ず期限切れにする

無人ループには失敗の打ち切りが必要（外部 API を叩き続けてアカウントが凍結された実例がある）。
ただし打ち切りが**永久**だと、一過性の障害で対象が静かに消える。

```javascript
function shouldSkipByFailure(v) {   // 5回失敗しても、3日経てばまた試す
  return Number(v.n) >= 5 && Number(v.lastMs) > 0 && Number(v.nowMs) - Number(v.lastMs) < 3 * 24 * 3600 * 1000;
}
```

注意: カウンタを「着手前に +1、成功で削除」する実装だと、**実行時間上限で殺されるたびに増える**。
優先順を変えて重いレコードを先頭に持ってくると、この事故を踏みやすくなる（だから期限切れが要る）。

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## 検証のしかた（ここを省くと直った気になるだけ）

1. **純関数に切り出してローカルでテストする**。並べ替え・進捗の引き当て・確定条件・失敗判定は
   すべて外部 API を呼ばない純関数にできる。`module.exports` に足せば GAS 外のテストランナーで回る。
2. **本番で1件を完走させる**。読み取り専用のデバッグコマンドで状態を read-back し、
   `state: 完了`・`済/全チャンク`・本文の文字数を数字で確認する（「動いたはず」で終わらせない）。
3. **バッチ全体を1回手で走らせる**。「全件走査できたか」（残り0か）を戻り値に含めておくと、
   飢餓が直ったことを1回の実行で確認できる。
4. **仮説は実測で棄却する**。上の実例では「失敗カウンタ5回で永久停止しているのでは」を最初に疑ったが、
   カウンタ一覧を読むと空だった。推測のまま層を足すと、本当の漏れ口は開いたまま残る。

## コストの目安

1チャンク（PDF・画像を数MB分まとめて長文脈モデルへ）で $0.02 前後、6チャンク+統合で $0.12 前後。
チャンク単位の再利用が効いていれば、2回目以降は**変わったチャンクの分だけ**しか課金されない。
「入力が変わっていなければ 0 円」を成立させるのが、この設計の一番の効果。

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<!-- 出典: マキモノ (GASの夜間バッチを必ず完走させる設計(6分制限・再開・作り置き) v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/gas-6 -->
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