# ページング API で「全件取れているつもり」で大半を取りこぼす事故と、その検出方法

## 1. 何が起きたか

認証必須の社内 `<Wiki>` から全ページを取得するツールを書きました。総件数は `<一覧エンドポイント>` が `totalCount` として返しており、**6,902 件**です。

実装は「1 回のリクエストで 500 件ずつ取得し、`offset` を 500 ずつ進める」という素直なループでした。単体テストは全て緑、CI も緑、ローカル実行も緑。

ところが本番で実行したところ、**実際に取れていたのは 280 件だけ**でした。取得率にして **約 4%**。エラーは一切出ておらず、ツールは正常終了していました。

## 2. 原因

`<一覧エンドポイント>` は **`limit` パラメータを完全に無視し、常に 20 件だけ返す**仕様でした。実測値は次のとおりです。

| 要求 | 実際の返却件数 |
|---|---|
| `limit=100&offset=0` | 20 |
| `limit=500&offset=0` | 20 |
| `limit=100&offset=1000` | 20 |

一方、実装側は `offset += limit`（＝500）で進めていました。つまり **1 回のリクエストごとに 480 件を読み飛ばしていた**ことになります。

計算すると `6902 / 500 ≒ 14 反復 × 20 件 = 280 件` となり、実測値と完全に一致します。取得漏れは「たまたま」ではなく、この構造から必然的に生じていました。

## 3. なぜテストで捕まらなかったのか

ここが本題です。テスト用のモック HTTP サーバが、**「要求された `limit` の件数をきちんと返す」お行儀のよい実装**になっていました。

そのため、テストは「実装が正しいか」ではなく **「モックが想定どおり振る舞うか」を検証していただけ**でした。本番の意地悪な挙動（`limit` を無視する）を再現できていなかったので、壊れているのに全部緑、という状態が成立していました。

モックが行儀よすぎると、テストは実装を検証せず**自分の前提を検証しているだけ**になります。

## 4. 修正

1. **`offset += 実際に返ってきた件数`** にする。要求した `limit` は信用しない
2. **返却 0 件で終了**する。加えて**進捗が止まったら中断**するガードを入れる（同じ結果を返し続けるサーバで無限ループになるため）
3. 取得済み ID の Set で**重複排除**する（一覧が更新順などの可変順序だと、同じ項目が別のページで再登場する）
4. **取得後に必ず `totalCount` と突き合わせ、一致しなければ警告を出す**。今回これで気づけました。数を数えない実装は、静かに壊れたまま動き続けます

擬似コードにすると次のようになります。

```
seen = Set()
offset = 0
while true:
    batch = fetch(offset, limit=500)   # limit は「お願い」にすぎない
    if batch.length == 0:
        break
    new_items = batch.filter(x => not seen.has(x.id))
    if new_items.length == 0:
        break                          # 進捗が止まった → 中断
    for x in new_items:
        seen.add(x.id)
    offset += batch.length             # 要求値ではなく実返却件数で進める

if seen.size != totalCount:
    warn("取得件数が総数と一致しません: {seen.size} / {totalCount}")
```

## 5. 再発防止のモック設計

- モックは**本番の意地悪さを再現する**。「`limit` を無視して常に N 件返す」モックを 1 本用意する
- 総数は `20` で割り切れない数（例: 130）にして、**端数の扱い**も検証する
- 検証項目は次の 3 つ
  - 収集件数 == `totalCount`
  - 重複 0 件
  - 期待する ID の全集合と一致
- **修正前の実装でそのテストが落ちること**まで必ず確認する（落ちないテストは意味がない）
- 「並び順が動くサーバ」のモックも用意し、複数パスで収束することを確認する

## 6. チェックリスト

- [ ] `offset` は**実際に返ってきた件数**で進めている（要求した `limit` で進めていない）
- [ ] 返却 0 件で終了し、**進捗が止まったら中断**するガードがある
- [ ] 取得済み ID の Set で**重複排除**している
- [ ] 取得後に **`totalCount` と突き合わせ**、不一致なら警告を出している
- [ ] モックに「**`limit` を無視して常に N 件返す**」意地悪なケースがある
- [ ] 総数が割り切れない値（端数あり）でテストしている
- [ ] **修正前の実装でそのテストが落ちる**ことを確認済み

## 7. 一般化した教訓

- ページング実装は「サーバが仕様どおり振る舞う」前提で書くと静かに壊れる
- **総数と突き合わせない取得処理は、壊れても気づけない**
- モックが行儀よすぎると、テストは実装を検証せず**自分の前提を検証しているだけ**になる

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<!-- 出典: マキモノ (ページングAPIで「全件取れたつもり」が4%だった — 静かな取りこぼしの検出法 v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/api-4 -->
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