# AI運用ルールを「機械的に守らせる」hook設計 — ルール文が守られない本当の理由

チームで AI コーディングエージェント（Claude Code / Codex CLI 等）を使うと、必ずこうなる。

> 「高いモデルを使うな」「実装は定額枠のCLIに投げろ」「大量処理は夜間バッチに回せ」と
> ルールに書いたのに、**別のPCでは一度も実行されていなかった**。

原因はほぼ「ルールを読んでいない」ではない。**ルールを強制する仕組みがそのマシンで動いていない**か、
**経路が沈黙して壊れている**かのどちらかである。この指示書は、その2つを機械的に潰す設計を渡す。

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## 1. 何を hook にするか（3層で考える）

| 層 | 発火点 | 役割 | 例 |
|---|---|---|---|
| 禁止 | ツール実行前 (PreToolUse) | **拒否**する | 使用禁止モデルの指定を deny |
| 誘導 | 依頼受領時 (UserPromptSubmit) | 依頼を分類し**具体コマンドを注入** | 実装→定額CLI / 分類→激安API / 長文脈→大容量文脈API |
| 担保 | セッション開始時 (SessionStart) | **hookが登録されているか自己点検**し欠落を自動修復 | 必須hook棚卸し＋再登録 |

**3層目が抜けると全部無意味になる。** これが冒頭の「別PCで一度も実行されていない」の正体である。

### 落とし穴: 配布とインストールは別物

- 日次同期スクリプトが「hookのファイル」を更新しても、**設定ファイルへの登録はインストール時のまま**になりがち。
  → インストール後に追加した hook は、既存マシンに永久に届かない。
- 対策: 同期処理の最後に**登録処理を必ず呼ぶ**（冪等に）。さらに SessionStart で
  「必須hookの一覧」と実際の設定を突き合わせ、**欠けていたら自動で登録し1行だけ報告**する。
  揃っていれば何も出力しない（無音が正常）。

```js
// hook-selfcheck: SessionStart で必須hookの欠落を検出→自動修復
const REQUIRED = [
  ['PreToolUse', 'model-guard.mjs'],
  ['UserPromptSubmit', 'routing-gate.mjs'],
  ['SessionStart', 'hook-selfcheck.mjs'],
];
const missing = REQUIRED.filter(([ev, s]) =>
  !(settings.hooks?.[ev] || []).some(g => (g.hooks || []).some(h => String(h.command||'').includes(s))));
if (missing.length) {
  spawnSync(process.execPath, [registrar, '--hooks-only'], { env: { ...process.env, HOME_OVERRIDE: home } });
  console.log(`🚨 必須hookが ${missing.length} 本欠落していたため自動登録しました（次回セッションから有効）`);
}
process.exit(0); // 失敗しても必ず 0（エージェント本体を壊さない）
```

### 登録処理の冪等判定は「拡張子を無視」する

同じhookに OS 別の実装（`.ps1` と `.mjs` など）があると、拡張子込みで重複判定すると**二重登録**になり
同じ内容が2回注入される。判定は拡張子を落として行い、**旧実装は置換（migrate）**する。

```js
const base = scriptName.replace(/\.(mjs|ps1|sh)$/, '');
if (registered.some(cmd => cmd.includes(base))) return false; // 既にある
```

また、既に登録済みのエントリは「追加」処理でスキップされるので、**timeout などの属性変更は届かない**。
属性を変えたいなら「既存エントリを書き換える」処理を別に用意する。

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## 2. 禁止は「集計」でなく「拒否」でやる

よくある失敗: 使用禁止のはずのモデルが、**日次レポートの事後集計にしか登場しない**。
これは「気をつけよう」以上の効果を持たない。ツール実行前フックで**拒否**する。

- エージェントが**サブエージェントを生成するツール**も拒否対象に含める。
  ここを見落とすと「本体は守るがサブエージェント経由で全部素通り」になる。
- 探索・読み取り専用の用途は除外する（過剰なブロックは信頼を失う）。

### 例外は「人の明示指定」で自動的に通す

「どうしても使いたい時は hook を外してください」は運用が壊れる（外したまま戻らない）。
**発話を見られる層（依頼受領時）で明示指定を検知し、短命の許可トークンを書く**。

```js
// 依頼受領時: 明示指定を検知して 60分・同一セッション限りの許可を発行
if (/明示指定の正規表現/.test(prompt) && !/使うな|禁止|避けて/.test(prompt)) {
  writeJson(allowFile, { until: Date.now() + 60*60*1000, sessionId, prompt: prompt.slice(0,120) });
}
// ツール実行前: deny の前に許可を検証（期限内かつ同一セッション）
if (violating && !validAllow(allowFile, sessionId)) return deny(reason);
```

時間とセッションで**自動失効**するので、許可が残留しない。否定文脈（「〜は使うな」）で発行しないこと。

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## 3. 段階的エスカレーション（warn → block）

最初から全部ブロックすると作業が止まり、回避策が横行する。
**観測 → 警告 → 改善しなければ拒否**の順に上げる。判定は状態ファイルに書き、hook が読む。

```json
{ "mode": "warn", "reason": "観察中", "metric": 0.06, "target": 0.30 }
```

- 目標を大きく下回る（例: 目標の1/3未満）ときは観察期間を短縮して即 `block` に上げる。
- 必ず**脱出ハッチ**を用意する（オーバーライド用ファイルの作成 / 指標が改善したら自動で warn に戻る）。
- 拒否メッセージには**代わりに実行すべき具体コマンド**を必ず書く。禁止だけ告げると人は詰まる。

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## 4. 「失敗が沈黙する経路」を疑う（ここが本命）

ルールを強制できても、**委譲先が静かに死んでいる**と全部エージェント本体に戻ってくる。実際に踏んだもの:

| 症状 | 真因 | 対策 |
|---|---|---|
| 全APIキーが「未設定」判定 | 設定ファイルが **UTF-8 BOM 付き**で、1行目が `﻿KEY=` になり `startsWith('KEY=')` が外れる | 共有パーサに集約（BOM除去 / `export KEY=` / `KEY = "v"` / コメント / 重複は最後 / CRLF）。既存ファイルはバックアップ付きで自動修復 |
| CLIは入っているのに書き込めない | サンドボックスが読み取り専用に固定されるプラットフォームがある | 「導入済みか」ではなく**「その用途に使えるか」で判定**。使えないなら具体的な代替経路を出す |
| 外部CLIの起動が必ず失敗 | shell 経由で引数を引用符付きで渡すと壊れる環境がある | shell を介さない**配列渡し**で起動する |
| 自動導入が永久に完了しない | 導入コマンドが数十秒〜数分かかるのに、**hookには timeout がある**ため毎回途中で殺される | 重い処理は**切り離して起動**し即座に戻る。報告は「開始しました（次回有効）」と正直に書く。二重起動は状態ファイルで防ぐ |
| 委譲率が実際より低く出る | 委譲先のログが別のファイルシステム配下（仮想環境の中など）にあり集計対象外 | 集計対象パスに仮想環境側も含める |

**共通する教訓**: これらは全部**エラーを出さない**。だから「導入した」「配った」で完了と判断してはいけない。
**実際に実行して、期待する副作用（ファイルが書かれた・キーが読めた・差分が出た）を確認**するまでが1タスク。

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## 5. 「決めた施策が実際に使われたか」を可視化する

使われていない施策は存在しないのと同じ。定期レポートに**使用回数0を⚠️で名指しする表**を出す。

```
| 実行者/施策 | 使用回数 | 判定 |
|---|---:|---|
| 激安API      |  87 | ✅ |
| 長文脈API    |   0 | ⚠️ 使用0 |
| 夜間バッチ   |   3 | ✅ |
| 禁止モデル   | 558k tok | 🚨 検出 |
```

集計のモデル分類に**禁止対象を明示的に入れる**こと。分類漏れで「その他」に丸められると、
最も見たい違反が永久にレポートに現れない（実際にそうなっていた）。

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## 6. テストの作り方（ここで必ずハマる）

hook は「壊れると全作業が止まる」ので、テストは必須。ただし次を守る。

1. **本物のホームディレクトリを絶対に触らない。** 環境変数でホームを一時ディレクトリに差し替えて実行する。
   差し替えを忘れたテストは、**本番の状態ファイルが変わった瞬間に落ちる**（例: モードが warn→block に昇格した途端に失敗）。
2. **プラットフォーム依存の値を固定値で期待しない。** 「導入先 = native」と書くと別OSで必ず落ちる。
   実行環境から期待値を導出する。
3. **テスト用の差し替え口を実装側に用意する**（導入コマンドの置換、検出結果の強制）。
   未設定時は挙動に一切影響しないこと。これが無いと「未導入の経路」を再現できない。
4. **重い処理が同期的にブロックしないことを時間で検証する**（例: 20秒かかる導入コマンドを与えても本体は数秒で戻る）。
5. 秘匿値は**状態だけ**を検証し、値をログに出さない。

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## 7. 委譲を「抜け道より楽」にする

規律は禁止だけでは定着しない。**正規ルートが最短になる**ようにする。

- 長い起動コマンドを毎回組み立てさせない。**1コマンドのラッパー**を用意する。
- ラッパーが**蓄積コンテキストを自動で同梱**する（別のCLIはこちらの記憶を継承しないので、
  素で投げると気が利かない）。関連する知見ファイルだけをキーワードで選んで渡す。
- 実行後に**差分の要約**を出し、**使用実績を台帳に記録**する（＝委譲率の指標が自動で上がる）。
- 「実装を依頼したのに差分が空」なら**警告して非ゼロ終了**する。黙って成功扱いにしない。

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## 8. 並行作業の事故（共有作業ツリー）

同じリポジトリを複数のエージェントセッションが同時に触ると、作業ツリー・ステージ領域・HEAD が共有される。

- `git commit -a` / `git add -A` は**他セッションの進行中作業を巻き込む**。
  対象ファイルを列挙して stage する。
- 自分が触っていないファイルが変更されていたら、**消す前に持ち主を確認**する（原則そのまま放置）。
- 長い作業は作業ツリーごと分離する（`git worktree add`）。共有ツリーの HEAD を切り替えない。

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## 導入チェックリスト

- [ ] 禁止事項はツール実行前フックで**拒否**しているか（サブエージェント生成ツールも対象に含めたか）
- [ ] 明示例外が**手作業ゼロ**で通り、時間とセッションで自動失効するか
- [ ] 依頼受領時に「用途別の具体コマンド」を注入しているか（禁止だけになっていないか）
- [ ] セッション開始時に**必須hookの欠落を自己修復**するか（無音が正常）
- [ ] 日次同期が**登録処理を呼ぶ**か（ファイル更新だけになっていないか）
- [ ] 設定ファイル読込は BOM・表記ゆれに強い**共有パーサ**経由か
- [ ] 「導入済み」ではなく**「その用途に使えるか」**で判定しているか
- [ ] 重い自動修復は**切り離し起動**で hook の timeout を超えないか
- [ ] レポートに**使用回数0を名指しする表**があるか
- [ ] テストは一時ホームで走り、プラットフォーム依存の固定値を期待していないか

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<!-- 出典: マキモノ (AI運用ルールを機械的に守らせる hook 設計 — ルール文が守られない本当の理由 v1.0.0) https://makimono-md.vercel.app/md/ai-hook -->
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